婚姻届に両親の氏名を記入する際に手が止まった。死別していても離婚していなければ母は名前だけ(父親は苗字・名前)を書けば良かった。そうか、父が亡くなって二十一年余、たとえ肉体はこの世に存在していなくても父と母はいままで夫婦だったのだ。他人には言えない別れを経験した母にとって、成田の姓を名乗って年を重ねることの方が辛い選択だったのではないだろうか。そんなこと今まで考えた事も無かった。目には見えない何かで二人は静かに結ばれていた。
いま世界は新しい時代へと突入した。人生で本当に大切なものは何なのか。私は両親の生き様から多くのことを学んで行きたいと思う。